仮面
 パラパラと捲っていく中、一枚の紙がそこから飛び出した。



 それをメモ帳の間から引き抜くと、市川は急いでバックの中から手帳を取出し、その紙に書かれていたものを即座に写した。



 それが終わると元に戻して、警察に電話を掛けた。


 そして市川はすぐさま部屋から出ると、一階のそば屋に戻っておばちゃんに手帳を隠すように頼んだ。 



「何があったの?」



「殺人事件だね、少し慌ただしくなるよ」




 市川は気持ちを落ち着かせようと立ったまま、バックからタバコを取り出して煙を一吸いした。



 その途端吐き気を覚え、急いでトイレに駆け込んだ。



 衝撃的な死体を目の当たりにしても吐かずにいられたのは、おそらく好奇心が不快なものに勝っていたからだろう。



 市川は妙な声と共に腹の中の物を全て吐き出した。


「くそが・・」
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