仮面
 26歳といえば上田と同い年で、原田の話によれば上田はN県の高校に席を置き、鎌田はそのときの同級生とのことだ。



 しかしどんなに調べても同級生という以外に上田と鎌田の接点はなく、上田と鎌田の事件が関連しているとは同級生等は考えていなかったようだ。




「なんだか6年前の事件にリンクしますね・・まぁ調べてみる価値はありそうですね」



「そうですね。あーそうだ。メモに関して少し不可解な点が」



「不可解?なんです?」



「上田の事件の週、上田の母親は会う約束はなかったようです。そもそも高校生以来、殆ど会っていないそうです」




 驚きのあまり市川はまた口を開けて言葉を失った。



 メモを頼りに調べを進めてきた市川には、その事実は衝撃的で不安を与えるには十分だった。




「まぁ落ち着いてください。メモを頼ってきた市川さんには悪いニュースですが、ではなぜ会うはずもない義母をメモに記したのでしょうか?」




 ビールジョッキをテーブルに静かに置いた原田は、表情を曇らせた市川にそう言った。
< 104 / 106 >

この作品をシェア

pagetop