仮面
 この切り抜きを保管していた理由は定かではないが、市川はこの被害者の女性も、3人の被害者と同じ故郷であることを知った。



 同い年の被害者の4人は故郷が一緒で、6年前の7月から9月という近い時期に殺された。



 単なる偶然なのだろうか?



 死体に硫酸を掛けたのは模倣のつもりなのか。いや、それならば警察官の男も同じように殺すべきだった。



 それにも拘らず白昼堂々殺したのは、何か他に理由があったからなのか。



 証言によれば突発的な犯行だったようだから、そんな犯人が別の殺人だけに模倣犯的な犯行をしたのは極めて不合理だ。



 何かが違う。何かが隠れている。



 そして今回の2件の犯人とされた男の自殺を受け、市川は本格的にこの4人の殺人事件について調べようかと思案していた。



 金になる記事になるとは思えなかったが、市川は一度気になってしまうとなかなかそれを払拭できない性格だった。
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