仮面
 翌日早速大学に問い合わせると、坂井教授は夕方ならば会えるとのことだった。           


 上田の前職の生命保険会社に電話したが、野村は社員としていたものの、外回りで不在だった。



 後に連絡をもらえるとのことで、市川は胸を撫で下ろした。



 何か手掛かりが掴めればいいんだが。



 市川はそう思い、机の上に広げた紙に左手を置きながらふとため息を吐いた。


 情報が少なすぎて困っていたのだ。



 上田のメモに残されていた名前が、クロサワを除き大体判明した。



 そして大学と上田の前職の電話番号を手に入れた。


 しかしそれはどれも手掛かりとは呼び難い。



 今日会う坂井教授と後に会う野村が、有益な情報を持っていることを市川は願った。         


 ため息を1つ吐いて、市川はおもむろにテレビを点けた。
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