仮面
 コンビニに入ると、ハンバーグ弁当と紙パックのお茶を手に取ると、市川はすぐに自分のアパートに戻っていった。



 普段なら雑誌の立ち読みをしているのだが、そのときは自身の部屋でゆっくりと考え事をしたかったのだ。



 部屋に戻ると、すぐさま椅子に座って使用済みのコピー用紙の束をクリップで留めたものを机に置いた。


 市川が考え事や情報整理するときの必需品だ。



 上田のメモに記されていた野村、坂井教授、鎌田、義母、大家、川本順子。



 それから少し離すように黒沢と「ゼロ」「裁定者」と書き並べていった。



 最後にその2つの文字列の間に「犯人」と書いて丸で囲み、そしておもむろに上田と坂井教授の名前の上にバツ印を書くと、ボールペンを止めてタバコを口にくわえた。



 これがどう繋がっていくか・・だな。



 今繋がっているのは上田と坂井教授に「犯人」だけだ。
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