タイムストッパー
「勘違いだよ!」

 田久万はタオルなど、どうでもいいので、話を決着するつもりで言った。

「タック、見てなかったの?」

「何を?」

「音楽室に行く前にここで汗を拭いていたじゃない」

「そうだっけ?」

「見てなかったの?」

 千紗は不思議そうに田久万の顔をマジマジと見た。

「何だよ」

 田久万も見られて、恥ずかしくなったので、つい言ってしまった。

「おかしいのよね」

「そんなら笑えばいいじゃないか」

「そっちのおかしいじゃなくて、誰かかばんの中を動かしたような気がするし……」

「考え過ぎだよ」

「気になったから、かばんの中なくなってないか確認したら、やっぱりなかったのよ、お気に入りのタオルが」

「でも、汗くさい、お前のタオル取ってどうすんの?」
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