タイムストッパー
「わかったぞ!」

 黙っていた大口がわりこんできた。

 お前は引っこめと田久万は言いたいが、紛失に進展があることを期待して黙った。

「え、何?」

 千紗も大口に期待したのだろうか、視線を送った。

「田久万くん、千紗くんが汗を拭いているところを見たのかね?」

 大口は探偵にでもなったような口ぶりと振る舞いだ。

「見てねーよ。あれ? そう言えば、そうだ。汗を拭いていた。ピンクだろ?」

「そうよ。やっぱり見てたじゃないの」

「それで千紗くん、そのピンクのタオルはどうしました?」

「かばんに入れたわ」

「田久万くん、千紗くんがピンクのタオルをかばんに入れたのを見ましたか?」

「さあ、わかんねーよ」

「それじゃ、教室を出るときにピンクのタオルを持ってましたか?」

「ピンクね……あの色なら持っていれば気がつくと思うから、手には持っていなかったと思うよ」
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