タイムストッパー

告白

 今日はあいにく朝から雨だった。

 田久万は傘をさして登校したが、昨日のことで今も気分がすぐれなかった。

 大口の言っている犯人は外れていたが、千紗の気持ちは当たっているかもしれない。図星だと、認めたくない田久万もいて、慶子のショックが尾を引いて、素直になれないのかもしれなかった。

「や、やっぱり、し、島目さんじゃなくて、は、肺世さんですね……」

 その口調で田久万はすぐに茂呂だとわかった。

「うっせーな」

「あっ、は、肺世さんです……」

 田久万は千紗が入ってくるのを見てしまった。

 すると千紗はかばんを机に置くと、一目散に田久万のところに向かってきた。

「俺は盗ってないぞ」

 田久万はケンカごしに言った。

「そんなのわかっているよ」

 千紗はあっさりと理解を示したので、田久万は拍子抜けした。

 茂呂は真顔で突っ立っていた。この場を移動する気はないようだ。

「大変なことが起こったのよ」

 千紗の顔はほころんでいた。
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