タイムストッパー
「お金でもなくなったか?」

 田久万は惨事を想像したが、千紗の表情からは読み取れなかった。

「聞きたい?」

「何だよ、お前から大変なことって切り出してきて聞きたいはないだろう?」

「耳ふさいでも言うよ」

「どうした?」

「昨日のバイト中に男の人に告られちゃった」

「ええっ?」

 田久万が一番予想しなかったことだ。驚いて引っくり返りそうになった。

「何を驚いてんの?」

「別に」

 田久万はあきらかに動揺していた。

「ちゃんと連絡先もらっちゃたんだ。いつ、連絡すればいいと思う?」

「いつでも、いいんじゃないか。連絡をしたければいつでもいいんじゃないか。夜中でも朝方でもいいんじゃないか」

「本当にいいの?」

「何で俺に確認とるんだよ? 好きにすればいいだろう!」

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