タイムストッパー
「俺の前か急に消えやがって、そして現れたら離婚だ? ふざけるな!」

 父親は離婚届を破り捨てた。

「もう、話し合いは無理ですね」

 義母は席を立ち、レシートを持って会計に向かった。

「こら!」

 父親はテーブルを引っくり返した。乗っていたカップや皿が床に落ちて、割れる音が響いた。

 義母は振り返り、唖然と見た。

「このやろう!」

 父親は立ち上がった。右手を懐に忍ばせた。

 戸井田も横にいて、父親の殺気を感じた。

 父親の右手に光る物が見えた。

「ぶっ殺してやる!」

 店内に父親の怒号が響き、出刃包丁を持って義母に突進した。

 義母も口を開けたまま、避けられないようだ。

 危険は迫っていた。

『時間よ、止まれ!』

 戸井田はすぐに念じた。
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