タイムストッパー

限界?

 戸井田は寸でのところで、時間を止めた。

 父親の突進力からして、義母をほって置けば、出刃包丁は突き刺さることは間違いない。

 しかし、時間が止まっているので、人を動かすことは困難だ。

 戸井田はこの状況をどう打開するか迷った。

 時間を動かし、父親の横からタックルするしかないと思った。

 一歩間違えば、義母が損傷する。

 今週は銀行強盗をやったので、時間を止められる限界がくるはずだ。

 早く実行しないと時間は動いてしまう。

 迷っている場合じゃない。

 戸井田は父親の肩越しに自らの肩を押しつけた。

 あとは時間を動かすだけだった。
< 164 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop