タイムストッパー
 戸井田は男子高校生にばれないように、千紗のいるコンビニまで行くと、隣は駅の改札につながるトンネルになっている。そこから人影を感じた。

 人影は千紗だった。

 戸井田はすぐに下を向いた。今、千紗を見て時間が動き出したら大惨事は免れない。

「ねえ、もしかして時間を止めた?」

 千紗は時間を止められることを知っているのか。戸井田は驚きと同時に疑問を感じた。それでも下は向いたままであった。

 しかし、緊急事態だ。疑問より危機をどう乗り越えるかだ。

 戸井田は右手を拳で握り、近づいてくる千紗の距離を影と歩く音で確かめていた。

 足元が目に見えた。

 この場面で、最善策は一つしか思い浮かばなかった。躊躇している暇はない。

 戸井田は右手を千紗の顔面に向けて殴った。

 おもいきりである。

 千紗が後ろに倒れて行く。

 戸井田のパンチがヒットし、気絶している。




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