タイムストッパー

田久万の疑問

 田久万はヘリコプターが墜落の途中で止まっているのを目の当たりにしていたが、呆然と突っ立っていた。

 何もできないからだ。

「おーい!」

 田久万の背後から声がした。

 男である。見た感じ十代後半であった。

「どうして、時間が止まっているのに……」

 田久万は疑問しか思い浮かばなかった。

「俺が止めた。今は説明しているヒマはない。この危機を脱出しないといけないから、とりあえず、俺についてきてくれ」

 田久万は男の後について行った。

「この人を安全な場所に運ぶ」

 その人は四十代の女性だった。

 田久万は以前に人を動かすのに苦労した経験があったので、今回も大変だろうと思った。

 予想通り大変だった。

 二人がかりで、別々に頭と足を持った。

「この人、知り合い?」
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