タイムストッパー
 戸井田は死んだのか?

 死体を確認してないし、姿も現さないから、死んだと推測しているだけで、今にもヒョッコリと現れそうだ。

 複雑だった色々な関係がすべて大惨事で、水に流れてしまったような気がした。

 教室に入ってくる生徒は気を使って何も話てこなかったが、大口はあいさつをしてきた。

 何か言うのかと思ったが、何も言ってこなかった。

「だ、大丈夫でしたか?」

 と、茂呂は心配してきた。

 普通の生活にすぐ戻れそうだと田久万は思った。

 そして何より、千紗が登校してくると、すぐに視線だけ向けた。懐かしく、生きていることにうれしさを感じた。

 いても立ってもいられなくなり、田久万は千紗の座っているところに走って行った。

 短い距離なのに、遠く感じた。

「あのさ、放課後、話がある。二人で」

 と、田久万は言うと、千紗は黙ってうなずいた。

 大事な者が見えた気がして、きっとその気持ちを伝える準備は整った。

                      終わり
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