タイムストッパー

状況

 田久万はすぐに状況が理解できた。

 時間を止めたから、すぐに止めた分の時間が早送りしたのだ。千紗は何を言ったのか不明だが、確かに止まっている時間に千紗だけは動いていたようだった。確認するしかない。だが、それよりも慶子の方が気になっているので、田久万は千紗を追いやった。

 この時間にトイレ以外どこに行くのだ。

 田久万は三メートル先の螺旋階段を見た。

 人のけはいがする。

 一階と二階の間の踊り場にいた。

 こんなときは玲の声が響いていたので、すぐに見つけることができたのだ。

「そうですよね」

 もろに玲が誰かに媚を売っている。

 田久万は誰がいるのか確認した。

 踊り場には慶子と玲と男子がいた。

「練習が忙しくてさ……」

 と、答えたのは二年の草間愛也だ。サッカー部所属で、ルックスもいいので女子にはモテモテだ。

 草間がどうして、慶子と玲といるのかが疑問だ。

「そうなんですか?」

 と、玲は相槌を打った。
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