タイムストッパー

大口と茂呂

「ねえ、どう思う?」

 田久万の前には千紗がいた。

 慶子のことを妄想していたので、返事にはつまった。

 いや、無視をしたような感じになった。

「聞いている?」

 千紗は田久万の左耳をつねった。

「痛っ! 何をするんだよ!」

 田久万はやっと我に返った。

「最近、ボッとしているけど、どうしたの? 誰かに恋でもしているの?」

「考えごとだよ!」

「やっぱりね。で、誰なの好きな子は?」

「だから違うって言ってんだろ!」

「そう、ムキになるところがあやしいな。ここのクラスの子?」

「違うよ! ところで千紗、今年は黒くないな。夏休み明けは小学生のときから黒かったのに今年は白いな、俺のことより千紗どうした彼氏でもできたか? まあ、それはないな……」

 田久万が言い終えると、千紗は急に顔を下に向けた。
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