タイムストッパー
 高校生たちは公園の真横にある塀を登り始めた。塀は低いから、簡単に登れてしまうのだ。

 塀の先は先日、倒産した倉庫だ。

 やはり殺人事件か?

 戸井田は塀に近づいた。

 真相をさぐるためである。

 耳をすました。

「よし、掘るぞ」

 塀の中で穴を掘っているようだ。

「茂呂、早く掘れよ。俺ばかりじゃないか!」

 二人の高校生は無我夢中で穴を掘っている。いったい何のためだ。

 立ち入り禁止の倉庫で、穴を掘る意味はあるのか。白昼堂々とやるからには殺人事件ではないとは思う。

 では何をやっているのか。

 戸井田はさらに耳をすまし、塀の中の声を聞いた。

「もう、こ、これくらいで?」

「まだだ。こんな浅いんじゃ、落とし穴としても面白くない!」

「ど、どのくらい掘ればいいんですか?」
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