タイムストッパー
 田久万は気になった。

 チャイムが鳴った。

「また、できたら見せてね」

 と、玲は大口に言うと教室を出て行った。

 大口は手を振って玲を見送った。ご満悦のようだ。

 一方の茂呂と言えば、無表情だった。嫌なのだろう。素直に感情を出せばいいのにと思う田久万だった。

 そう言えば千紗がいない。

 田久万は空席に気がついた。千紗の席である。

 欠席か?

 それとも遅刻か?

 田久万は千紗がいないのに、違和感があった。記憶をさぐっても欠席はおろか遅刻をした千紗を見たことがない。

 どうしたのか?

 昨日の田久万の発言が関係あるのか?

 そんなヤワな千紗ではない。でも、昨日の千紗の態度も不自然だった。

 いままでの経験からすると、千紗は負けず嫌いなので、文句を言えば、必ず何か言ってきたはずだ。
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