タイムストッパー
「放せよ」

 田久万は茂呂の手を払いのけた。

 後ろでは茂呂が何か言っている。田久万は無視して教室に入った。

「あれ?」

 田久万は茂呂の情報を信じていたが、大口と慶子が睦まじく話しているのを見た瞬間、イラっとした。

 田久万は冷静にはなれなかった。いきなり大口のお尻をめがけてキックをした。

「痛っ!」

 大口は不意打ちだったので、慶子と会話している柔和な表情が険悪になって、田久万をにらんだ。

 田久万もにらみ返した。茂呂のためではない。本当は嫉妬の怒りをぶつけたのだ。

「消えろ!」

 田久万はとっさに出た言葉だった。

「はあ? 消えるのはお前だ!」

「聞いたぞ!」

「何を?」

「茂呂からだ。お前は散々なやつだな」
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