タイムストッパー
「散々?」

「そうだよ、弱い者をいじめて」

「はあ? 茂呂がいじめられているって言ったのか?」

「言った」

「うっそ!」

 大口は自覚していないのか、茂呂をいじめている感覚はないようだ。

「本当だ」

「ちょっと、待て具体的?」

「茂呂を落とし穴に落ちるところを撮影しただろう」

「した。でも、あれはいじめているんじゃないぞ」

「言っていることがわからない」

「昨日、あいつと二人で落とし穴を作ったのは事実だ」

「そうだろう」

「しかし、いじめているのではなく……」

 チャイムが鳴った。

 二時限目の始まりだ。教壇に教師が立っているので、田久万と大口は一時中断を余儀なくされた。

 田久万は舌打ちをして自分の席に戻った。
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