タイムストッパー
 時間が止まったのだ。

 田久万は茂呂に触れ、硬くなっているのを確認した。

「あのときと同じだ!」

 田久万は教室を出た。

 今は茂呂よりも慶子のことが気になったのだ。

 どこに行った?

 トイレか?

 そう思ったら、田久万は急にうれしくなった。迷いなく、近くの女子トイレに向かった。

「あっ!」

 田久万の予想通り、慶子はいた。女子トイレの前ではなく、もう少し先であった。

 声が出てしまったのは慶子の横に男子生徒がいたからだ。

 田久万は慶子の正面まで行った。

 横には慶子をじっと見ながら、口を開けている草間がいた。何か話している最中なのだろう。

 一方の慶子は話を聞いているのだろう。口は閉じているが、目は草間と視線を合わしていた。

 慶子と草間は手をつないでないが、ベッタリとくっついていた。
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