タイムストッパー
 田久万は嫉妬するしかなかったので、地団駄を踏んだ。

 まだ、時間は止まっていた。

 田久万はあることを思い出し、実行をすることにした。慶子の唇に顔を近づけた。

 キスをすることにしたのだ。

 田久万の唇と慶子の唇が触れ合った。

 それは人の唇ではないようだった。時間が止まっているので、唇は硬く、マネキン人形とキスをしているのと同じだった。

 つまらない。

 田久万の感想だった。

「タック!」

 田久万の背後から声がした。その呼び名は振り返るまでもなく、千紗だ。
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