タイムストッパー
 戸井田は二階にある職員室に向かった。

 階段にも生徒たちがいて、それを避けながら戸井田は二階に着いた。

 右に曲がるとすぐに職員室はあった。

 しかし、ドアは開いてなかった。

 戸井田は試しにドアを開けようとするが、全く動かなかった。

 だからすぐにあきらめた。

 教師に会いにきたわけではないからだ。

 戸井田はもう二度とくることはないと思い、振り返り、階段を利用して帰ろうとした。

「あっ!」

 戸井田は誰に言うつもりではなかったが、驚きで反射的に声が漏れてしまったのだ。

 二階と三階の間の踊り場から男子生徒が落ちてきていたのだ。

 生徒の顔は知らない。

 階段でつまずいたのだろう。生徒は空中に浮いて、もう少しで着陸する寸前だった。

 戸井田は時間が止まっている証拠を見た気がした。
 生徒の他にわら半紙も空中に浮いていた。生徒たちに配るために三階から下りてきていたのだろう。しかし、つまずいてわら半紙は手から放れ、空中に浮いていた。
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