タイムストッパー
「えっ?」

 田久万は玲が話しかけていることに気がついた。それにいつも田久万は千紗と呼んでいるので名字の肺世と言われても、ピンとこなかったのだ。

「何をとぼけているの?」

 と、玲に言われても、田久万は消えたことと千紗のことは両方とも答えるのが遠慮したかったのだ。

「はぁ……」

 田久万は意気消沈した。

「慶子の目の前で抱き合うなんて、大胆だよね」

 玲はさらに追い打ちをかけるように言った。田久万は本当にウザイと思った。

「ええ、そうなんだ!」

 やっかいなことに大口にも聞かれてしまった。

「でも、何でまた慶子の前なの? もしかして、慶子に嫉妬でもさせようとしたの?」

「いや、その……」

 田久万の行動が思わぬ展開になった。絶句するしかなかった。

「無理ね。だって、慶子と草間先輩は今、ラブラブだよ。他の男子の入るすきないよ」

 田久万は慶子がつき合っている事実を知り、絶望に落ちるのだった。
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