タイムストッパー
「それでだね」

 大口はさらに田久万に歩み寄り、何かを企んでいるようだ。ブキミにほおをピクピクさせていた。

「何かやるの?」

 素っ頓狂に玲が突っこみを入れた感じだ。

「ああ、田久万くんのその手品を利用して、何か面白い映像を撮影して、動画サイトに投稿しようと、思っているんだけど、協力してくれるかい?」

 大口は期待をこめて、右手を田久万に差し出した。

「手品じゃねえよ」

 田久万はしつこい大口に断るつもりで強く言った。

 これで話は終わると思った。

「手品じゃない? じゃあ、もしかして……」

 大口の顔色が急に変わった。見る見るうちに青ざめていくのがわかるほどだ。

「どうしたの?」

 玲でも気がつくくらい大口の変化は顕著だった。

「今、ネットで噂されている不思議能力者と言って、恐れられているんだ」

「怖いの?」

 玲も大口に感化されたようだ。幾分、顔色も青ざめているようだ。
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