タイムストッパー
「って言うことは、殺人者?」

 玲の一言で風向きが変わった。

 生徒たちの視線は一気に冷たくなったような気がして、田久万は発言をするのを止めた。

「田久万くんどうなの? 俺の言っていること当たっているだろう?」

「……」

 田久万がイエスと言えば、殺人者扱いになるし、ノーと言えば、教室から消えた説明をしなければならない。

「いや、違うよ」

 と、田久万は否定した。だが、説明はできなかった。

「違う? まあ、普通に考えて、能力があるって言わないと思うな。それに、俺からすれば田久万くんが殺人者には見えないし、もし、時間を止められるなら、悪い噂を払拭したいと思わないか?」

「うん……」

 田久万は大口の熱弁に負けて、首を縦に振ってしまった。

「よし!」

 大口は右手を天に突き上げた。

 生徒たちも大口に感化されたように色々なガッツポーズをした。

 この状況を知らない人が見たら、異常な光景に驚くはずだ。
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