タイムストッパー
「う、うれしいです」

「顔がうれしくないって言っているぞ」

「そ、そうですか……」

「何か言いたいことあるなら、言ってみろよ」

「べ、別にありません……」

「ウソつけ! 何かあるのはわかっているんだよ。モジモジしてないで言えよ」

「そ、そうですか。そ、それじゃ、肺世さんと抱き合っていたんですか?」

「ええっ? そんなことかい! 抱き合ってねーよ」

 田久万は予想もしていなかったことを言われたので、内心はあせっていた。

「で、でも……」

 茂呂はしつこいようだ。まだ、納得していない。

「どう、言えばいいのか。時間を止めたんだ。そしたら、あいつ……千紗が現れて、急に時間が動き出したんだ。そしたら、俺は止めた時間の分だけ動けなくなるんだよ」

「そ、それで……」

「慶子の目の前だったんだが、押されてちょうど俺が倒れるときに千紗が支えてくれたんだ。だから、好き好んで抱き合ったわけじゃない」

「ほ、本当ですか?」
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