タイムストッパー

実行

 時間に不規則な生活をしていると、朝早く起きるのが、面倒になる。戸井田も例外ではなく、午前七時に一度、目を覚ましたが、早いのでまた眠った。

 時計は午前九時を過ぎていた。

 もう一度眠りたい。

 戸井田の脳は眠ることを希望したが、『肺世』と言う名前が浮かび、起き上がることにした。

 久しぶりの早起きな気がした。

 あの『肺世』の通っている高校はネットカフェから、歩いて十分もない距離にあった。寝過ごすことを予想して、高校の近場をさがしたのだ。

 本当は登校時に『肺世』を見つけ、そのまま教室までさぐる予定だった。

 戸井田が高校の門の前に着いたときには、授業は始まっている時間だった。

 時間を止めて、教室を一つずつ調べればいいが、能力は一週間に三十分程度なので、『肺世』をさがすために使い過ぎると、銀行強盗ができなくなると、今後の生活費に支障をきたすのだ。

 戸井田は高校の外周を歩いていた。

半分あきらめていた。

明日こそは早起きを実行することにし、門の前をながめていた。

 そこに風がふいた。

 戸井田の横を通りぬける人影があった。すぐに誰だかわかった。

 走っている『肺世』だ。時間的に考えて、遅刻したのだろう。
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