タイムストッパー

千紗がいない

 田久万は今日も朝から千紗がいないのが気になった。

 どうした?

 田久万は昨日のことがショッキングだった。慶子が草間とつき合っているのは、ある程度わかっていたことなのだが、大口が慶子の指示で動いていたと茂呂が告白した。

 まさかの事実に田久万は受け入れがたいので、寝つけが悪く、朝になってしまったのだ。

 時間を止める能力のことで悩んでいたことが、今はちっぽけに感じた。

 なぜ、今になって千紗が気になるのか田久万は理解できなかった。

 一時限目が終わり、田久万は眠いので、机の上でつっぷしていた。

「ね、眠そうですね……」

 昨日こともあって、今は誰とも話したくなかった。

 すぐに空気が読めない茂呂とわかった。

「何だって?」

 と、田久万は起き上がった。

「た、田久万くんのお陰で、お、大口くんとかにいじられなくて、よ、良かったです……」

 茂呂は会話することがないので、昨日と同じことを言った。
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