タイムストッパー

ピンクのハンドタオル

 田久万はあわてて、音楽の準備をした。

「あれ、みんなは?」

 田久万は声で千紗だとすぐわかった。額に汗をかいていた。走ってきたのだろう。

「音楽室だよ!」

「そうだ。音楽だったんだ。急がなくちゃ」

 千紗はかばんを机に置き、ピンクのハンドタオルで汗を拭った。

「早く、しろよ」

「先に行ってていいよ」

「いや、待ってるよ」

「そう……」

「もう、どっちにしろ、遅刻だ。怒られるのだから、早くても同じだよ」

「さあ、行こう」

 田久万と千紗は一緒に教室を出た。
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