お仕置きゲーム2
「...あの、名前なんていうの?」
疾風はなるべく優しく、人懐っこい笑顔で問う。少年はすこし考えた後、
「佐藤真咲。」
と答えた。
「佐藤、くん、宜しく。」
「気持ち悪い、呼び捨てでいい。」
ツン、としている彼はどことなく苦手だと感じた。内心(なんだよこの態度、)と思いながらも笑顔を絶やさず、「わかった。なら佐藤、どうしてここにいるの?その怪我は?」と問いかけた。
「...俺にもよく、わからない。」
視線を下におとし、ぎゅっとベッドのシーツを握りしめる真咲を見て、疾風は宇野と何か関連があると察した。宇野は世間的には犯罪者。もしかして、真咲は宇野に誘拐され、監禁されているんじゃないだろうか。だとすればその傷も、宇野につけられたものなのかもしれない。
「お前こそ、なんでここにいるんだよ。」
「...誘拐されたんだ。」
「...成程。」
あの変態ならやりかねないと、真咲は溜息をついた。
「...高取、早くここから出たほうがいい。あの変態に関わると、ロクな事ねェよ。」
「そうかな。」
「そォだよ。...お前、家族とか友達いンの?」
何故そんなことを聞くのかわからなかったが、頷けば真咲は真剣な表情で疾風を見つめた。
「なおさら、関わるな。早くあの変態から離れろ。」
「...え?なんで?」
確かに宇野博隆は犯罪者。けれど、彼は自分の歪みを認めてくれた、愛してくれるといった。会ってまだまもないのに、離れるのを躊躇ってしまう。