お仕置きゲーム2


「..高取、」

疾風は、嫌われることにとてつもない恐怖を抱いていた。だから、常に相手が望んでいる理想の人物でいようと心掛けていた。それがたとえ、自分の感情を殺すことになっても、だ。


疾風は、真咲の事を想って真咲を受け入れたのではない。嫌われたくないから、幻滅されたくないから、理想の人物像で在りたいから、いつもの優しい笑顔で彼の手を握ったのだ。



まるで人形のように綺麗な笑顔をはりつけた疾風を見た真咲は、それに気付いてしまった。気付けたのはきっと、疾風が自分の子供の頃になんとなく似ているから。



「...俺、お前の事嫌いだ。」


真咲は視線を逸らし、あえて拒絶した。途端、疾風の表情が消える。


「どうして?」


自分では笑顔を保っているつもりなのだろうか、口端がぴくぴくと動いているだけで表情筋が動いていない。





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