お仕置きゲーム2
家を出、駆け足で学校に向かえば遅刻せずにすんだ。内心ほっとしながら教室に入ると少し慌ただしい。何かあったのだろうか。
「あっ!疾風おはよ!」「おはよう疾風君、今日もかっこいいー。」「ほんとお前なんでそんなに完璧なわけ?」
一気に、疾風に注目が集まった。声をかけてくる彼等に笑顔で「おはよう。」と返せば満足したのか、それぞれの場所に戻っていく。
ふう、と息をはいて席につけば先に来ていた未央が「おはよう疾風。」といつもの声音であいさつしてきた。返せば、話題がうつる。
「聞いた?今日、このクラスに転校生が来るらしいよ。事情があって、一歳上らしい。」「そうなんだ、知らなかった。男子?女子?」「女子。」
珍しいな、と思いつつ対して気にすることなく教材を机の中にいれていると未央が「なあ疾風。」と真剣な声をだした。
「ん?」
「昨日、大丈夫だった?」
誘拐の事だろか。ということは、どうやら夢ではなさそうだ。
どこも怪我をしていない為に頷けば「あれから何があったの?」と質問してくる。素直に話そうと思い口を開いたが、すぐに閉じた。「疾風?」正直に話してしまうのは、マズい。一年前の凶悪な事件の首謀者に出会い、関わってしまった事がバレれば、自分の生活に悪影響がでるんではないだろうか。そんなの御免だ。
「母さんの親戚の人だったんだ。急用があったらしくて、俺をむかえにきたんだって。小さい頃に数回あっただけだから顔をはっきり覚えてなくてさ。」
びっくりしたよ。と嘘をつけば未央は納得したように「ならいいけど。」と少しほっとしたように笑った。ちくちくと罪悪感が胸を刺したが、仕方のないことだと割り切る。