お仕置きゲーム2
信じていいのかわからず立ち尽くしていると、突然腕を掴まれ引き寄せられた。
「さあ、行こうか。」
拒絶しようと思えばできたはずなのに、空はそれをしなかった。ひかれるまま、歩き出す。抵抗せずについてきた空を見て満足そうに微笑んだ男は、「僕の名前は宇野博隆。これから、よろしくね。」となんとも意味ありげに言う。
その名前を聞いた瞬間、びくりと体が震えた。
(まさか、数か月前の事件の...?)
ニュースでよく流れていた犯罪者の名前と一致していることに戸惑いを隠せない。
「さあ、ここだよ。」
気付けば、近所の国立病院に来ていた。関係者出入り口から中へと入り、エレベーターで上へとあがっていく。9階で降り、一番左端の病室へと案内された。宇野博隆はノックもせずに部屋の扉を開ける。
「ほら、彼女が栗林絵里ちゃんだよ。」
白いベッドで眠る少女の顔は、まったく知らない別人だった。
「嘘だ。」
信じきれない現実を否定すれば、宇野は笑みを深める。
「本当さ。彼女は生まれ変わったんだ!使命を果たすためにね!」
「嘘だ!!」
空は大声をあげて否定する。頭の中が混乱して、目の前の現実をどのように受け止めればいいのかわからない。
「本当だよ。」
宇野は、もう一度、空に言い聞かせるように優しい声音でしっかりと言葉を発した。