お仕置きゲーム2
空の瞳から涙が溢れる。悲しいのか、苦しいのか、再会できてうれしいのか、何がなんだかわからない。きゅう、と胸が痛むのは気のせいではなかった。
「絵里ちゃんを、元の姿に戻したいかい?」
静かに涙を流す空を見て、宇野は問いかける。ゆっくりと彼を見上げ、恨みがこもっているような、期待しているような曖昧な視線を向ければ「僕が望む物語が終われば、元に戻してあげるよ。」と言う。
「...なんだよ、そ、れ。」
震える声で思った事を口にすれば、宇野は空の頬に手をのばし撫でようとする。それを叩き落とし、宇野から数歩距離をとった空は「答えろよ。」と睨んだ。
「お仕置き少女メグミって、知ってるだろう。君がよく2ちゃんねるで耳にする言葉だ。一年前の事件との関連性も知っているはずだ、ネットでは噂になっていたからね。」
「...。」
「一弾は、佐藤真咲君がメグミを演じて終えることができたんだけど、あいにく彼は負傷していて動けない状態でね、二弾をはじめることができないんだ。」
「...だから、なんだよ。」
「それでね、厳選した結果、君のお兄さんを二弾のメグミにすることに決めたんだ!!君のお兄さん、疾風君は最高に可愛いだろう。良い具合に歪んでいるし、メグミにぴったりだ!ああでも、本当のメグミは真咲君だから、真咲君が動けるまでの代役に過ぎないよ!」
嫌な汗が頬を伝った。この男は危険だと脳が訴えている。一歩ずつ後退していく空を見て「絵里ちゃんを見捨てて逃げるのかい?」と宇野は厭らしく言い放った。その一言でぴたりと動きをとめる。