お仕置きゲーム2
大通りにもう少しででれる、というところで真咲は突然膝の力が抜けた様にがくんと座り込んだ。
「い、ってぇ」
まだ完治していないらしく、苦痛に表情を歪める。あの場から離れたおかげで幾分か余裕を取り戻した疾風は無理やり真咲の腕をひき自分の首に回し、背中に乗せた。
「おい!」
「早く逃げよう。」
「さっきまでびびってたクセに。」
「佐藤のおかげで落ち着いた。ありがとう。」
「ふぅん。」
先程よりもペースは遅いが、疾風は真咲を背負ったまま走り出した。大通りにでて人ごみをかき分けて進んでいく。
後ろをみて追ってきていないことを確認し、走るのをやめて歩き出した。
「疾風、これからどうする?」
自然に名前で呼ばれた事に少し吃驚したが、気にしないふりをして「わからない」と返事をすれば真咲は「だよなー」と声を漏らす。
「佐藤は病院に戻らなくても大丈夫なのか?」
「あの病院に戻ったら宇野博隆に捕まるだろ。」
「だけど、その、怪我してるじゃん。」
「まあ、大丈夫だろ。あの病院にいた時も最初の手術以外たいした治療してないし。定期健診の時はあの病院にいる知り合いに診断書を捏造してもらっていたから宇野博隆は俺が歩けるなんて思っていなかったんだろーなァ」
「知り合い?」
「宇野博隆の義理の姉。」
「...よくわかんないけど、大丈夫なの?」
「たぶん。...あー、これからどうする?」
疾風の肩に顎をのせて怠そうに問いかける真咲に、困った。このまま自分の家に帰ってもきっと宇野博隆や空が来るだろうし、考えてもわからない。
「警察に連絡しよう。」
疾風が無難な言葉を選べば、真咲は「警察はあの変態の味方だから意味ねーよ」と呆れた様に告げた。