お仕置きゲーム2
「なあ、未央。」
「...。」
「俺、何かした?ごめん。」
自分の何が悪いのかわからないまま、表情を悲しそうにゆがめ、未央を見れば彼は「はあ」とため息をつく。チクリ、チクリ。何かが胸を刺すような感覚が襲ってくる。それに気づかないふりをして様子を伺っていれば未央は「帰ろう、疾風」と言った。
頷くと、未央は立ち上がる。疾風は慌ててそれに続いた。
廊下を歩けば疾風に視線が集まる。「かっこいい」「今日もかわいい」ひそひそと話す声が嫌でも聞こえた。その声の中には、「なんで神崎と一緒にいるんだろ。」「あいつキモいよな。」と未央への悪口も含まれている。
未央は疾風以外の前ではとてもおとなしい性格で、基本話さない。授業中に先生にあてられたときや、発表の時間が苦手なようで、じっと立ったまま動かなくなることが多い。
何を考えているのかわからない、独特な未央の雰囲気を嫌う者は多かった。
それを知りつつも疾風は一緒にいることをやめなかった。長い付き合いだから、未央には本音を話せたし、一緒にいて気が楽だったから。たとえ彼に裏切られようとも、拒絶されようとも、利用されようとも、何故か離れられなかった。
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生徒玄関をでて、他愛ない話をしながら帰宅路を歩いていると突然目の前に黒い車が停まった。内心、邪魔だよこんなとことめるなよ、と思ったが口には出さず、避けようとした時、車のドアが勢いよく開いた。
「ッ、」
丁度ドアの横にいたせいで、頭を強くうちつける。ぐわんぐわんと揺れる視界。ふらつきながらなんとか踏ん張ると、隣で未央が「大丈夫?」と顔を覗き込んできた。
、...糞ウゼー。
頭を押さえて、車に乗っているやつを睨もうとしたとき、突然車のなかから手が伸びてきた。そのまま疾風は腕を掴まれ引っ張り込まれる。
「ッ疾風!」