お仕置きゲーム2
暫く走行していた車は、大きな国立病院の前で停車した。
「さあ、君もおりて。ついてきて。」
言われるがまま車から降り、男の後をついていく。ここで逆らって相手を逆上させ、面倒事にはしたくないと思った。
何故か診察室へと案内された疾風が不思議におもいながらも中に入ると椅子に座った白衣のきた医者が「こんにちは、はじめまして。君は?」とまるで感情がこもっていない声音で話しかけてくる。
いったいなんなんだろう、と思ったが、第一印象は大切だと幼い時に教えられたため、愛想よく笑顔をつくり、
「はじめまして、高取疾風です。」
と礼儀正しく答えた。
「礼儀正しい、いい子だね。僕はそういう子好きだよ。」
「有難うございます。」
なんだか、何所かで見た事ある顔だなあ、と思いながら医者をまじまじと見ていると彼はニヤリと口元を釣り上げてわらった。その笑顔を見た瞬間、思い出した。
「うの、ひろたか、」
一年前に、ニュースになっていた犯罪者、宇野博隆そっくりなのだ。現在も逃走中だと聞いていた疾風は一気に青ざめた。
「あれ?僕の事知ってた?」
「、俺に、なんのようですか。」
なんとか焦りと動揺をおさえこみ、声を振り絞って問えば宇野博隆は「君にしばらく、メグミになってもらおうと思って。」と意味不明な言葉を発した。
「...メグ、ミ?」
「そう。あれ?知らない?お仕置き少女メグミっていうアニメ。ゲームにもなっていたんだけどな。」
知ってる、よく知ってる。そのゲームのシリーズは全部持っている。だけれどメグミになってもらうという言葉がいまいちよくわからない。
「君は、お仕置き少女メグミの中で誰が好き?メグミ?アリサ?それとも違うキャラ?」
「...メグミ、ですけど。」
「やっぱり。メグミは誰にでも愛される存在だからね。君がメグミを想うことは当たり前だよ。」