お仕置きゲーム2
チクリ。
なぜかその言葉を聞いた瞬間、胸が痛んだ。
「話を戻すとね、君はメグミの代役に向いてる。だから、本物が目を覚ますまで変わりになってもらうよ。」
「…話が全く、わからないんですが…」
「大丈夫、君はそのまま普段通りに過ごしてくれればいい。君ならできるだろう?君は優しいからきっと僕に協力してくれるはずだ。まわりからの評価を気にしすぎているから、損得考えずに君は必ず頷いてくれる。そうだろう。」
疾風の性格を理解しているような言い方に、違和感を覚えた。宇野とは初対面のはず、自分のことを知るわけがない。
「、どうして、」
無意識に心の中の声が漏れる。困惑している疾風をみて、宇野はにやりと笑みを深めた。
「僕は何でも知っているよ。君は幼い頃から皆に愛されていた、けれど、愛されていたのはまわりからの理想を形にした君で、本当の君は愛されていない。家族や、たった1人の親友にさえ受け入れられていないんだ。本当の自分を見せて嫌われるのを恐れているから、それに気づかないふりをして、君は、「っ、やめろ!」
疾風は思わず叫んだ。宇野は怯えをみせる彼に近づく。
「君は家庭内暴力を目の前で見せつけられ育ち、弟たちは学校にいかず引きこもっている。大変だね。おまけに君のせいで父親が死んだ。ああ、可哀想に。1番まともな君に期待を寄せるのも無理ないよ。容姿端麗、成績優秀、おまけに性格も良し。表面だけ皆に愛される、最高だよ!」
宇野は疾風の頭に手をおき、彼を優しく撫でた。
「…僕はね、他人とは違うよ。」
「…。」
俯く疾風に優しく語りかける。
「僕はありのままの、歪んだ君が好きなんだ。愛してる。」
その言葉を聞いた瞬間、こいつが犯罪者とか、初対面なのに自分の心の奥まで知っている事についての疑問が、どうでもよくなった。
はじめてだったのだ。歪んでいる自分に気づいてくれ、そして受け入れてくれる事が。疾風は泣きそうな顔で宇野を見上げ、そして普段人前でみせる柔らかい表情からかけ離れた、冷たい表情で笑った。
「…俺のこと、ほんとに愛してくれるの?」