お仕置きゲーム2
病室を出てエレベーターにのり、最上階へと向かう。後先考えずにただ黙ってついていくと、他の病室とは違う大きな扉の前で立ち止まった。
宇野は鍵を開け、中に入る。
「...ほら、見て、メグ。」
「...。」
視界に入ってきたのは、頭と腕に包帯を巻き痛々しい姿をしている同じ年くらいの少年だった。少年は開いている窓からずっと外の様子を見ている。生暖かい風が吹き、少年の髪を靡かせた。
「メグミ、君に紹介したい子を連れて来たんだ。」
宇野がそう告げると、少年はゆっくりと振り向いた。虚ろな瞳が、徐々に光を宿し、そして疾風を見て驚きを露わにする。
「高取疾風君だよ。今日からしばらく、メグミの代わりになるんだ。」
「ッ、テメェ、どういうつもりだ!」
「だってメグミは動けないじゃないか。僕が望む最終回はまだ迎えられていない。代わりの子が必要だから、だから僕はこの子を見つけ出し連れてきた。」
さも当たり前のように語る宇野を見て、少年は唇をかみしめ睨む。
「あ、僕、これから少し調べたい事があるから診察室に戻るよ。メグ、暫くここにいてメグミを会話を楽しむといい。」
「...え?」
「じゃあ、また後でね、メグ。」
疾風が返事をする前に、宇野は出て行った。
「...疾風君、すまないな。」
男は謝罪を口にすると、宇野の後についていく。ぽつんと残された2人の間に沈黙がおちた。