放課後と炭酸水【BL】
「俺も喉渇いた。コンビニ寄ろうかな」
ペットボトルの底が軽く総太の背に当たり、何とはなしに後ろを振り返ると、ボトルを傾けるアキの姿が見えたのだった。
「欲しい?」
「えっ、くれるの?」
「そんなに冷たくないけどいい?」
「いいよ。すっごい喉乾いた」
「ん。じゃ、ちょっと待ってな」
アキからの思わぬ言葉に総太が喜んだのも束の間。
総太の背後でニヤと意地悪な笑みを浮かべたアキは、ペットボトルを右手に、左手で総太のワイシャツの襟を掴んだ。
そして──
「──うわっ!?」
悲鳴と共に総太が急ブレーキを掛ける。
その反動でアキは総太の背中に顔を打ち付けることになってしまったが、声高らかに笑い出した。
「何するんだよ!!」
「冷たくて気持ち良かっただろ」
「ジュースを背中に掛けられて気持ち良い訳ないだろ!?」
「炭酸だしプチプチして……」
「するわけ無いから!」
「何だ、つまんねーの」
全く悪びれる様子もなく、中身が僅かに残ったペットボトルを口に付けるアキの腕を総太が掴む。
そのまま、殆ど衝動的にボトルを奪い、残っていた全てを総太は飲み干した。