瑠璃の瞳と夕焼けと
プロローグ-彼女の夕焼け
彼女は、孤独だった。
そう、孤独だったのだ。
何一つ不自由ない暮らし。世間知らずだった姫君は、いつのまにか
世界を奪い、忌み嫌われていた。そして、その彼女は語る。
「私は世界から奪った。たった一つだけ。たった一つ、夕焼けを奪っただけなのに。
でも、そのたった一つが、かけがえのない物だと、私は知らなかった。」
哀しげに、瞳を閉じる。
傍らに寄り添う少年…否、悪魔は言う。
「だから、お前が取り戻すんだろ、バニラ。」
こちらは優しげに瞳を細めて、彼女…バニラの頬に手をあてた。
バニラは顔をあげた。彼女は、もう世間知らずだったお姫様ではないのだ。
「そうね。ありがと。…そろそろ行きましょ、リウス。楽しいティータイムはおしまい、ね。」
リウスと呼ばれた悪魔は、コクンと頷き、バニラを大事そうに抱き上げた。
そして、そのまま、地を蹴り、飛翔した。
彼女は、これからある物を取り戻しに行く。
ある者の思い出を、またある者の愛を。
取り戻す、と言うのはおかしいかもしれない。
正確には、「創り直す」だ。
彼女たちが翔んだ空には、淡いオレンジ色が浮かんでいた。
そう、孤独だったのだ。
何一つ不自由ない暮らし。世間知らずだった姫君は、いつのまにか
世界を奪い、忌み嫌われていた。そして、その彼女は語る。
「私は世界から奪った。たった一つだけ。たった一つ、夕焼けを奪っただけなのに。
でも、そのたった一つが、かけがえのない物だと、私は知らなかった。」
哀しげに、瞳を閉じる。
傍らに寄り添う少年…否、悪魔は言う。
「だから、お前が取り戻すんだろ、バニラ。」
こちらは優しげに瞳を細めて、彼女…バニラの頬に手をあてた。
バニラは顔をあげた。彼女は、もう世間知らずだったお姫様ではないのだ。
「そうね。ありがと。…そろそろ行きましょ、リウス。楽しいティータイムはおしまい、ね。」
リウスと呼ばれた悪魔は、コクンと頷き、バニラを大事そうに抱き上げた。
そして、そのまま、地を蹴り、飛翔した。
彼女は、これからある物を取り戻しに行く。
ある者の思い出を、またある者の愛を。
取り戻す、と言うのはおかしいかもしれない。
正確には、「創り直す」だ。
彼女たちが翔んだ空には、淡いオレンジ色が浮かんでいた。
< 1 / 11 >