瑠璃の瞳と夕焼けと
「…っ⁉」

バニラは動揺を隠せなかった。バカって言われたのに、抱き締められた。何なんだ、この人は。

リウスがバニラの耳元で囁いた。

「強がってるのがモロバレだぞ、姫様。
俺はな、姫様の使い魔だよ。本来なら昨日…姫様の十三歳の誕生日のプレゼントの筈だったけど…な。まあ、自分から会いにきた。」

最初の一言は、図星だった。当たり前だ。バニラはまだ十三歳なのだから。子供だ。
そんな彼女が、孤独でいて寂しくない訳がないのだ。

「…ウス…っく…」

声を殺して、バニラは泣いた。リウスは、より一層彼女を強く抱き締めた。

バニラの凍りついた感情は、少しだけ、とかされたかもしれない。

そして、彼女の言葉を借りれば、これも必然だったのかもしれない。
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