愛恋歌-tinkle tone-
「………!?」
音と共に床を転がる小さな赤い鈴…
バッグにつけていたものが外れてしまったらしい。
そして何かが切れたかのように私はその鈴を見つめたまま呆然とした。
声が聞こえる。
《珠洲、待っててね…》
ドクン…
忘れていた、ううん…忘れようとしていた記憶がそっと蘇ってくるような感覚に襲われた。
やだ…
もう、思い出したくないよ…
それなのに捨てられず、肌身離さず持っている自分に腹が立つ。
「珠洲?落ちたよ」
足元に転がってきた鈴を拾うと麗香は私の目の前にちらつかせた。
麗香が揺らす度にチリンチリン♪と音が鳴る。
「あ…ありがと…」
「…?」
麗香が手のひらに乗せてくれた鈴を握り締めると、ポケットへと直し込んだ。