愛恋歌-tinkle tone-
「…大丈夫?」
明らかに様子が変わる私を麗香は不思議そうな目で見つめた。
その声にハッとする。
「うん…今後こそ行くね」
まだ不思議そうな目をする麗香を残したまま、その場を後にした。
やだな…
思い出したくないのに…
ポケットの中で揺れる鈴の音はほとんど聞こえないけど、さっき落ちたときの音色が頭に響いて離れない。
その音色はあの時と少しも変わっていないんだ。
学校を後にして、私は足早に駅へと向かった。
電車に揺られ、3つ目の駅で降りる。
そしてそこから10分程歩けば彰との待ち合わせ場所に着く。
ただ身体を重ね合わせるだけの場所…。
寂しさを紛らわして欲を満たすだけの場所。
彰との関係は琢己と付き合っているときから変わっていない。
身体を重ねるだけでお互い恋愛感情はないから、めんどくさい感情に振り回されることもないんだ。