愛恋歌-tinkle tone-
夕方の一番人が多くなる時間。
改札口を抜け、人込みをよけて歩く。
街中ということもあり、子どもや学生、サラリーマン、主婦…とさまざまな人たちが目に写るなか私は足を進めた。
さらに駅の先にある公園を抜け彰との約束の場所に向かう。
陽も沈みかけた公園には泥んこになって遊ぶ子どもたちの姿はもうなかった。
砂場に忘れられた青いスコップが寂しそうに転がっていて…
そのスコップを見つめて私も何だか寂しい気持ちになる。
「………ン…」
…………!?
突然耳に入る音。
驚きながらも辺りを見渡した。
「あ……」
目に入ってきたのは木の影から覗く白い物体…。
小さな体、クリクリと大きな目をした仔犬。
「…クゥ……ン…」
「あんた…捨てられたの?」
「…ク……ン」
私にすがるようにピッタリと体を寄せてくる。
その姿に自分が重なり胸が痛くなった。