愛恋歌-tinkle tone-



「…雨宿り……」



「は…?」




びしょ濡れになった彼は雨宿りをしているんだと言う。

もしかして変な人に声かけた?


彼の返事にそのときの私はすごく不審を抱いた表情をしていたと思う。




「いや…雨宿りって…。あんたびしょ濡れだし…」



彼の姿はバケツの水を頭からかぶったようなひどい状態。



「雨宿りはこいつのだよ…」


だけど彼は微笑みながら愛しいように仔犬の頭を撫でると、それに応えるように仔犬も彼の手をペロペロと舐めた。




「その子も濡れてんじゃん…」



「うん…だけどせめて少しでも暖めてあげたくて…
君もびしょ濡れだね」



「え……」



そう…もう私も傘の意味なんて全くなくて、かろうじて傘に隠れる頭だけが守られている。

だけど髪の毛も先のほうは濡れていて、ポタポタと滴が落ちていた。
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