愛恋歌-tinkle tone-
「家には連れて帰れないな…」
雨の音にかき消されてしまいそうな声はしっかりと私の耳に入ってきた。
「ちょっと何よそれ…。助けられないなら何で優しくするのよ!何で期待持たせるのよ!」
その気がないなら初めから優しくなんかしないでほしい。
その子だってそのほうが傷付かないで済むんだよ…
怒鳴る私に彼はキョトンとした目を向けた。
「こいつを見捨てるつもりはないよ…」
「は?意味わかんない…今、連れて帰れないって言ったじゃない」
連れて帰れないなら置いて行くてことじゃない。
それは見捨てることでしょ?
「こいつを一人にはできないから…」
ドクン…
「どうしようか考えてた。せめて少しでも寒くないように…」
「………」
優しい目…
彼の透き通った瞳と、仔犬の透き通った瞳がぶつかり合う。