愛恋歌-tinkle tone-
私の言葉に沈黙が流れる。
コスモスが咲く季節の風は少し冷たく、今の私にピッタリでもっと強く吹けばいいのにと願った。
そしたら心の冷たさが少しだけ和らぐのに…
私たちはお互いを傷付け合いすぎたんだ。
はぁ……
沈黙を破る琢己の溜め息。
「お前はそうやって簡単に人を傷付けるんだよな!!」
突然の罵声に一瞬ビクッと肩を震わせたけど、琢己の言葉をもう一度頭の中で繰り返して拳をギュッと握り締めた。
「………」
『簡単に人を傷付ける』
その言葉そのまま琢己に返すよ…。
「わかった。別れてやるよ。俺を振ったこと後悔させてやる…」
今まで下に向けていた顔を上げ180㎝の高さまで目線を持っていくと、睨み下ろされていると思っていた琢己の顔は口元だけが笑っていた。