白い謙遜

「しかしこれどこから入ればいいんだよ・・・。」

ほとんど山の中が伺えないほど草や葉が覆い茂っていて、獣道を探すのすら骨が折れそうだ。

女の子が入っていった辺りを中心に葉を掻き分けていく。
背の低い木が邪魔をしてなかなか山に入ることができない。




道を探し始めて30分



なんどか女の子の事を諦めようかとおもったり、本気で山は人を拒絶しているんじゃないかと思った頃少しだけ木と木のスペースを見つけた。

俺は体を滑り込ませるとその先に石で出来た道を見つけた。



「あれ、こんなとこあったんだ。知らなかった。」


道というにはお粗末で、薄く丸い石が点々と山の奥へ続いている。
かなり昔のものなのかかなり劣化していて、歩きにくくはあったが柔らかい周りの土に足跡がついていないことから女の子がこの道を通って奥へ行ってしまったということは確実だ。



昼間といえど山の中は暗い。
日の落ちる前には戻らないといけない。

外に置いてきた自転車が少々気になりもしたが、まずは女の子を探しにいくことにしよう。


少し湿っている石の上をできるだけ歩きながら山の奥へ足を進めた。










1時間は歩いただろうか。

山の途中で石の道が途切れてしまった。
土には足跡がついているので跡を辿れば平気だろうが、帰りまたここに戻ってこられる自信がない。

漫画ではよく木の幹にナイフで傷をつけて、とかいろいろあるが生憎そんな鋭利なものを持ち歩いてはいない・・。

「どうしたものか・・・。なにか目印があるといいんだが・・・」



持ってるものは桃の枝くらいだ。
木のたくさんあるところでは枝は目印にはならない。



周りに人工的なものはなにもない。
このなかにあっておかしいのは俺くらいだな・・・。


「しょうがないか。」

着ていた上着を脱いで近くの枝へくくりつけた。

お気に入りの服だからあまり汚したくないんだが・・・。
色は派手じゃないけどまあ何もないよりマシだしな。


何度か縛り具合を確認すると俺は先ほどよりも速足に足跡を追いかけた

見る限りかなり先まで足跡は続いているみたいだった

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